石田誠 器展
2016年3月19日(土)−27(日) 作家在店日:19(土)・20(日)
紅毛手のブルーは鮮やかさを増し、以前から手にしている器の形も
印象がちがって見えるほど、より洗練されたものに。
新作となる極々シンプルな丸皿には、石田さんの真髄が感じられます。
進化し続ける器の今を、どうぞご覧になって下さい。
3月初旬、愛媛県松山市に工房を構える石田さんを訪ねました。
戸を開けると、だるまストーブの火で暖かくなった工房に石田さんと、
去年伺った時もお手伝いをされていた田坂香代子さんが作業を
されていました。田坂さんも焼物を作っていらっしゃる方です。
石田さんは磁器となる紅毛手ハットボール(リム付きの鉢)の高台を
削り出す作業を。そのハットボールの素焼が済んだものの高台に、
釉がのらないよう撥水剤を塗る作業を田坂さんはされていました。
左:轆轤を回しながら、カンナを立てたり寝かしたりと角度を変えて
高台を削り出しています。器に添えた指にはオレンジ色の指サック。
砥石に指を当てているようなもので、指の皮も削れてしまうとか。
右:次は高台を綺麗に仕上げる作業です。割り箸の先端にガーゼ
を巻き付け濡らし、高台のエッジ部分に当て滑らかにしていきます。
このハットボールの場合の工程は、轆轤をひく → 型押し →
乾燥 → 高台削り出し(石田さんがされていた)→ 生素地の水拭き
→ 素焼 → 水拭き → 高台撥水剤塗り(田坂さんがされていた)
→ 釉がけ → 本焼き → 仕上げ、となるようです。(簡単に書き
ますと) 工程の1つ1つに注意がはらわれ出来上がっていきます。
制作途中となる品々が並びます。碗、猪口、
お皿各種各サイズ、ピッチャーや徳利もあります。
クオリティーをあげる為にも数を作る必要があり、また数を
作って見えてくるものがあるとおっしゃっていた石田さん。
(1アイテムにつき60個前後は作っているそうです)
集中力を持続させて繰り返す。感覚が研ぎ澄まされて
いく中で体得するものがあるということなのでしょう。
(何事にも共通する上達への道かもしれません)
その成果は石田さんの器の姿にしっかりと現れています。
湯呑、碗、マグカップ、花器・・・ 使いやすいだろお品物が
でき上がっていました。[ポットボール]と名付けられ、
多様に使える形の新作もあり(石田さんのイチオシです)、
繊細なつくりで口あたりも良さそうなデミタスカップもあり。
碗や徳利などの南蛮焼締めもご用意下さるそうです。
左:次に取りかかったのは7寸丸皿の高台削り出し。
轆轤をひく方が楽しいと言いながら・・・
中:無造作に広げられていた企業秘密(?)のデータ帳。
右:窯の上に並んでいたのは、新色を試し焼きする
テストピース。広い面だと色味もわかりやすいと言う
理由もあるようですが、ピースとは言えない大きさです。
いい色の焼きになったものがあれば、制作中のものに
かけ、個展に出品して下さるそうですのでお楽しみに。
左上:工房目の前の景色。手前の木はイチョウだそうです。
(落葉しているとわかりません) 秋の山も見てみたい!
左下:工房の裏手で栽培中の椎茸。菌を植えつけたクヌギ
をいただいたそうなんです。ほっといても勝手に生えてく
るらしいですよ。美味しそうでした。
右下:新作のポットボールでお茶を出して下さる石田さん。
石田さんの生活リズムは朝型に変り、まだ日が昇らない
うちから作業をされていると聞き驚きます。
変化を恐れず向上につなげてこられている石田さん。
まだ見ぬ自分と器への探究心に満ち、
いつでもわくわくしているように見えます。
石田誠 いしだまこと
1965年 愛媛県に生まれる
1988年 愛知県瀬戸市に転居
1989年 愛知県立窯業高等技術専門
専攻科卒
1996年 愛媛県松山市窪野町に築窯
2015年・石田さんの工房訪問記
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