長谷川奈津 陶展

2017/12/9(土)−24(日)
作家在店日:9(土)・10(日)

*会期中の18(月)・19(火)はお休み致します。
*20(水)より常設品の一部も店内に並びます。

ほのかに香りたつような佇まい。
そして迷いのない形。
空間と1つになり、料理と1つになり、
器は懐のふかさもみせます。
今展では林檎灰や松灰の灰釉と、
鉄釉のお品を主にご覧いただきます。
3年ぶり、当店では5回目となる個展です。

木々の色づきも楽しみながら向かったのは
神奈川県相模原市。個展の度に訪ね
ていることもあり、ナビ無しに辿りつける
ようになっている長谷川さんの工房です。

長谷川 奈津 はせがわなつ    
1967年 東京に生まれる      
1994年 東京芸術大学大学院陶芸専攻 修了
1995年 青木亮氏に師事      
1997年 神奈川県相模原市に築窯

狙いを絞り、突きつめる色合や質感に
独自のセンスをみせ、普遍的な形の
美しさもおしえてくれる長谷川さんの焼物。

浮ついたところや、何事にも誇張のない
長谷川さんがいつもいます。そんな部分
に信頼が置けるとずっと思ってきました。

長谷川さんが手招きをし、優しい眼差しを
向けていた先には野性味ある眼光の猫。
工房を立ち寄り場所にしているようで、
長谷川さんはミーちゃんと呼んでいました。
(ガラス越しのご挨拶だけで触れられず)
もう1匹、工房内で出迎えてくれたのは、
人懐っこく、ボディタッチもさせてくれた
黒猫のクロちゃん。いざ撮影をしようとし
た時には姿がなく、寒空の下の放浪に出
ていってしまっていた。愛ある人の世話が
受けられる幸運な猫達であります。

工房裏手に見渡せる山並と、工房目前にある山。自然豊か
なこの地に築窯し、独立して丁度20年が経ったと伺いました。
電気、ガス、灯油と3種類の窯を持ち、焼成の工程や物に
応じて使いわけをされているそう。画像の灯油窯は、火種を
入れていたと言う以前の古い物から、自動着火で頑丈そう
な物に買い替えられていました。コンパクトなので、1点物
や実験的な焼きをする時に使っている窯だそうです。

林檎灰釉深鉢 口径16.5cm 高さ8cm

出来上がっていた碗の一部です。伸びやかな轆轤が感じら
れます。林檎灰や松灰を使う灰釉のものは、1つの釉薬でも土
(唐津・美濃・常滑)や焼成方法を変え、まったく異なる趣の碗に。
見込みを覗き、360度回転させながら堪能できる景色があります。
左:手前より林檎灰釉、鉄釉、後方2点は松灰釉
右上:松灰釉 右下:林檎灰釉

左:愛らしさがただよう手のひらサイズの掛け花入れに
 なります。野の花、小さな草花が似合うことでしょう。 
右:張りのある自然な丸みにわらかな表情。展覧会の度
 に秀逸だと感じる長谷川さんの壺。空間も一変させます。

他にも出来上がっていたお品がありました。
左:DMにも写る林檎灰釉の深鉢、松灰釉の飯碗や片口など。
右:逆さになって並んでいたのは鉄釉や松灰釉の向付です。

制作途中のお品です。焼き上がりは店頭で是非ご覧下さい。
左:これから化粧がけをする片口と、化粧がけを済ませた碗。
中:もうこの時点で美しいと思えます。5寸鉢になるそうです。
右:左は施釉も済み本焼を待つ7寸皿。耐火土の土をお団子とお煎
 餅状にした物の上にのっています。窯の中で熔けた釉が流れ、
 棚板にくつくのを防止する為、それらをかませるのだそう。しかし、
 釉の熔け具合によっては、お団子とお煎餅もガッツリと巻き込み、
 高台から簡単には剥がれない事態になることも多々あるとか。
 その状態が右の物。出品できる姿にするには手間がかかっている
 ようです。時間と労力は見えてこない作業にも費やされていました。

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