田谷 直子 陶展

2010年1月23日(土)−30日(土)
会期中無休
作家在店日:23、24、25日

「うちでは○○を盛ったりしています」そんな
一言をよく加え、田谷さんは器を見せてくれます。
先日は、いつもの豆皿より更に小さなお皿が、
田谷家では味見皿として大活躍している話でした。
美味しい湯気が立ちのぼる台所を想像させた、
その豆豆皿は、生成色の灰釉で、とても上品。
当店では約1年半ぶりの田谷さんの個展。
焼きと土を変えたいくつかの灰釉とルリ釉のもの。
気取りのない、日常使いの器が今回も並びます。
サイズ違いの手付きカップなど、新しい器も。
ポットやピッチャーなどとも合わせてご覧下さい。

あ、ご案内状にも書きました、生成色(?)の器です。当店では
   初めてご紹介する灰釉です。色々盛ってみたくなります。
い、石皿のような器。深い色合に焼き上がっていました。

4、5

1、[フタばかりなぜこんなに?] 実は田谷さん、ポット1つに対し、フタを2つ作っているそう。
  合わないものがないようにとのこと。でこんなに溜まっているという訳です。今後も増えてく
  一方でしょうから、何か再利用出来ないか店主考えましたが、いい案浮かばず・・・
2、素焼までされたポットの注ぎ口と、フタの空気穴に、丸めた新聞紙がきれいに差し込まれて
  います。口をふさがれ苦しそうにも見えますが、これからかける釉薬が中に入らないように
  栓をしているんだそうです。こんな作業もあるんですね。
3、これこそ「なに?」と田谷さんに聞いたもの。「ミル」と田谷さんは言いました。釉薬を調合す
  るのに使う撹拌機があるんだそうです(その本体は見なかったのですが)。この磁器製の
  ポットに合わせるものを入れ、機械にセットし、オンにするとグルグルと回転し、調合完了に。
  高さ50〜60cm位でしょうか。かなり重いそうです。でも今は使っていないらしいんですけど。
4・5、工房脇には大きなバケツがいくつも並んでいました。中には水簸中の陶土。白と赤です。

田谷直子 たやなおこ

1973年 神奈川県生まれ
1997年 明星大学日本文化学部
       生活芸術学科 陶芸専攻
       研究生 修了
同年より 神奈川県相模原市にて、
       陶芸を始める。

あまりここでお見せして
しまうのはもったいない
ので、少しだけご紹介を。

どちらも形がいいです!
造形的も、実用的にも。
実物を手に取って
ご覧いただきたいです。

[新作あれこれ]

[これな〜に?あれこれ]

左:田谷さんが使っていたポット。いい感じに変化していました。美しいな〜。
中:お手製のりんごのタルトを、学生時代に作ったというお皿でだしてくださいました。
  美味しくって、2つもいただいてしまった・・・
右:正面切っての撮影をいやがる田谷さん。[こっそり撮り]にも直ぐ気がつかれてしまう。
  飾らないマイペースぶりには時々笑わせてもらい、そしていつも朗らかでホッとさせくれます。

雑談の中で田谷さんは、自分の作るものが[雑器]だと、何度となくその言葉を口にし、
1点ものの特別なものを作る作り手ではないと言っていた事が印象的でした。
『あったらいいな』という、暮らしに根ざした発想から、思い描いたものを、
素直に形にしているのでしょう。そして自分にスポットがあたるのを嫌うのと同じように、
器にもそんなポジションをあたえている感じです。自己表現は控えめにと・・・

そして、 「やりたいことが見えてきた時があって」、という意欲的になっていった
時期の田谷さんの話にもなりました。そのターニングポイントには、いい刺激となる
人々との出会いがあったんだそうです。店主も一緒に月日を振り返ってみると、
その頃の田谷さんの器の変化に覚えあり。『なるほどな』とうなずけました。
作り手の姿勢や心境は、正直にものに反映されるものと、つくづく感じたのでした。

以前に(2008年)田谷さんの工房を訪ねた様子はこちらから

う、掌にのるくらいの小さな片口。淡いオレンジ色は、テーブルを明るくするアクセントになりそうです。
え、どちらも田谷さんらしい、のびのびと、大らかなつくりです。手前の碗は、田谷さん今回イチオシ
   のようで、今まで作っていなかった大きさの碗だそうです。お雑煮、汁ものなどにとご自身で使われ、
   万能なサイズだと知った事を、田谷さんはいつになく力説。器の雰囲気から「フォーとか似合いそ
   うだね」と店主が言うと、「ソーキそばとかも」と田谷さん。器を見ながらのそんな会話は楽しいもの。
お、人気の[とり箸置き]です。バックでボケているのは、新たな形にチャレンジしたもの。カモやネコだっ
   たのですが、どれも思い通りに作れなかったようで、残念ながら商品化には至らず。でもこの新作
   にならなかった箸置き、どちらもちょっとゆる〜い感じととぼけた表情で、店主を笑わせてくれました。
   でもまた是非再チャレンジして見せてほしいですね。

いつも準備万端で、展覧会前に慌てる様子の
ない田谷さん(稀な作り手)。でもその田谷さん
が珍しく焦っていると、お仲間の何人かから聞
いたのは12月半ばの事。 年が明け、お正月
気分も抜けた頃、神奈川県相模原市の田谷
さんの工房を訪ねると、棚に品物はずらり・・・
残すは本焼きがあと3回と、ある程度目処が
ついたところでした。焦っていた時も確かに
あったようですが(決め兼ねる事、用事も色々
ありで)、でもやっぱり準備のいい人でした。

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