小林慎二 漆展

2014/11/15(土)−23(日)
会期中無休
作家在店日:
15(土)・16(日)
*11/9まで在店日の記載が
間違っておりました。
申し訳ございませんでした。



錫を用いた変わり塗り。
古色の掛け花入れは
差す光とともに表情を変え、
草花と一つの景色になります。

根来の折敷、栗の木地の丸盆
などの新作があり、
椀類、丼、重箱、お箸等の定番品も
ご用意下さるそうです。

小林さんの漆器と新鮮な出会いを
きっとしていただけることでしょう。

茨城県鹿嶋市に工房を構える小林さんを二年ぶりに訪ねてまいりました。
電車とバスと小林さんの車に乗る事2時間半、ほぼ眠っていた東京駅から
茨木方面へ走るバスの中でしたが、目が覚めると青と緑が広がる車窓です(左)。
小林さんの車からは、「水郷」とつく地名に来たと実感する風景を眺めます。
稲田の向うには北浦の湖(中)。何とも気持が良い快晴の日でもありました。
そして舗装の無い林道をしばらく走ると、見知らぬ者の侵入に反応する賢くて
可愛い犬2匹、マルとテンとご対面の小林家に到着。(右)奥に2匹がいます。

制作途中のお品物を色々見せて
いただきました。完成したお品は、
是非!展覧会でご覧下さい。

今展に向け、小林さんが新たに試みた
ものが錫(すず)の変わり塗り。左画像は
その片口です。(内側の仕上げはこれ
からのよう) 一見沈んだ色味なのですが、
一日の光の変化と共に、また見る角度
により表情を変える塗りです。右画像は、
DMにもなった箱状の掛け花入れが積ま
れています。錫を塗る工程はこれから。
DMの物の他に2サイズがありました。

『好きなもの作りたい』、
そんな思いと素直に向き合われたと伺いました。
自己表現を抑えた仕事を十分積み重ねてこられた
小林さんが、満を持して取り組んだ仕事が[根来塗]。
作業台、小林さんが座る目の前に、相当古い物らし
いと言う、入れ子になる根来の三つ椀と、現代作家
のこれまた根来の蓋付椀がありました。刺激となる
物を目の入る所に置いていらっしゃるようです。

画像は、根来塗の途中段階にあるお品。小林さんの
椀にある、[本朱]と言っている赤ではなく、[淡口]と
言う、橙色にちかい赤をこの黒い地に重ねて塗り、
また研ぎだして磨く作業がこれからあるそうです。
左:手前、栗の丸盆。奥がセンの大鉢。
右:縁のある折敷の角と隅切りの2種。以前の物より
縁の高さが低くなっているそうです。

左:制作途中のお品がある棚。椀にカップ類、お皿らしき物も。
中:こちらは銀箔塗の片口。どんな表情になるか楽しみです。
右:意外と手間がかかるお箸だそうです。
だからなのでしょう、とても使いやすいんです!

[完成もしています]

出来上がっています。美しいです!
左と右上画像は、温度と湿度を調整しながら乾かす[塗師風呂]と言う棚の
中です。椀やお鉢があります。丼サイズのうどん鉢や大椀も。そして今回
新たにご紹介するのが赤の重箱や長方箱です。落ち着きのある黒や赤溜め
も素敵ですが、赤はやはり華やかさが違ってくるようです。
右下画像の物が、根来塗の丸盆の完成品。こちらは木がケヤキだそうです。
黒漆を覗かせる表情は、出来上がりの絵がしっかり頭にあり、感覚に任せた
ものではないそうです。小林さんの募る思い、美意識を感じる[根来塗]です。

奥まで長い作業台が続く工房。更にその奥に、一番最後の上塗りをする
部屋があります。右画像がそのお部屋。(これ実は2年前撮影のもの。撮る
寸前で帰りのバスのタイムリミットがきてしまう) 戸のついた大きな箱は、
[機械風呂]と言って、器をセットした棚を回転させながら漆を乾かす所。
窓からは小林さんが植えた樹木も見えます。その中央のもみじは2年前
より随分大きく成長。(でも何故か紅葉しないと小林さんはやや悲しげ) 

今回が3度目の工房訪問となりました。
小林さんも奥さまのあつ子さんもお変わりないご様子。
店主の都合で滞在時間が短かったにもかかわらず、
リビングでくつろぎ過ぎてしまいます。 いつものように
あつ子さんの近況話がまた楽しくて笑いっぱなしにも… 
(店主の情けない話も聞いていただく) その結果、肝心の
小林さん取材にしわ寄せがきてしまい、帰りのバス時刻
が迫り、慌てて小林家を去るはめに。(これも毎回の事
かも) 帰路では『楽しかったなぁ』と言う気持ちで満ち足り
てしまう小林家訪問になりました。お仕事の事も、畑や
植えられた木々の話ももっと伺いたかった。

器に流れる穏やかな空気感は、小林さんのもつ空気感。
まじめで丁寧な仕事。物は嘘をつかないと、小林さんの
漆器を通じていつも感じることです。


小林慎二 こばやししんじ
1974年 東京に生まれる
2001年 東北芸術工科大学芸術学部 卒業
       赤木明登氏に弟子入りが決まり、
       輪島漆芸技術研究所を退所
2005年 4年の年季を終える
2006年 1年の御礼奉公を終える
2007年 独立

2012年
2010年

以前に工房を訪ねた様子はこちらから →
(画像と文字が重なってしまうモニターがあるかと思います。
11/13までには直す予定ですのでお待ち下さい。)

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